青森県八戸市というと何を思い出すだろう。縁のない人はまったく思いつくものがないかも知れない。多少なりとも知っていれば「いか」「うみねこ」などという言葉が出てくるかも知れない。「安藤昌益」を思い浮かべる人もいるだろう。

　現在の八戸市の姿は、人口２５万、馬淵川の河口に工業港、漁港が発達し、新幹線も通るようになり物、人の流れの集中する北東北有数の都市である。

　新幹線は八戸駅が終着だが、八戸市の中心市街地に近いのは「本八戸」。そこから小中野、陸奥湊、白銀、鮫と駅が続いてあり、市街地が続いている。新むつ旅館は小中野と陸奥湊の間の市街地の一角にある。

　新むつ旅館があるところは「小中野新地」と呼ばれていたところだそうだ。付近にあった遊郭などを一か所に集めて作られた花街である。新むつ旅館も以前は遊郭で、現在もそのときの建物のまま普通の旅館として営業を続けている。

　建物の中も遊郭当時の雰囲気を良く残している。明治期の建物なので、時代劇に出てくるような遊郭ではなく、あちこちに洋風のしゃれた装飾などがみられるのも面白い。

　新むつ旅館では、昔の宿帳、調度品など、貴重な資料も積極的に展示して見せてくれているので、そんなことを楽しみに行くのも面白い。

　新館もあるが、「古い部屋」を指定して泊まるのがオススメ。旅の窓口からも予約できる。